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「あ、言い忘れていましたが、橘さんのご家庭は日本武術の道場なのであんまり下手に近づくとブッ殺されちゃいますよ?」
と、飛ばされた瀬山に呆然としていた俺たちに香穂先生からそう補足が入った。
なるほど。それなら納得だな。
でも先生…あんまり先生が使っちゃいけない単語がいくつか混ぜるの気を付けてくださいよ。
「まだだ…まだ俺は死んじゃいねぇ!!」
『こいつ…あれだけの攻撃を食らいながらまだ立つのか!?』
「黙れっ! 橘さん! 俺と結婚────」
シュパァンッ!!
「うるさい子にはお仕置きをしないといけませんからね」
……………その通りです、香穂先生。
瀬山が華やかに散った(肉体的な意味で)せいで、盛り上がっていた空気も一気に冷め、ようやく血で血を洗うような戦争になりかねん状況に幕を落とした。
「では橘さんの席は───」
静まり返った教室。そよ風に乗る木葉の音が異様によく響いていたのを覚えてる。
そんな中先生が指名してきたのは…
「──ちょうど蒼井さんの後ろが空いているのでとりあえずはそこでいいですか?」
香穂先生が指で席を示しながら転校生に場所の確認を取る。
その背後では、再びクラスがざわつき始めていた。
「………………」
なぜかと槍のような尖った視線が俺に向けられているが、それはきっとこのせいだろう。
こりゃ気を抜いたら死ぬな。
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