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「全員…構えろ」
瀬山がフラッと立ち上がりそう言った瞬間から、教室の空気は凍りつくように静かに、冷たくなった。
マズい…マズいぞこれは。
「これは命令ではない。俺たちの意思を具現化したものだ」
『蒼井幸人を抹殺しろぉぉぉおおおおっ!!』
「やっぱり来たかちきしょーっ!!」
飛び交うのはシャーペン…分度器…消しゴム…筆箱…ちり取り…箒…って誰だ! ハサミなんて凶器を投げた奴!
『奴に投擲は効かない! 全員接近戦で息の根を止めろっ!!』
『武器は…コンパスまでの装備を許可する!』
『一気に畳み掛けろぉぉぉおおおおっ!!』
「おいおいおい! マジでそれは死人が出るってっ!」
しかもその死人は俺本人だ。
「ちょっ、どうにかしてくださいよ香穂先────」
「………………………」
こ、こっちもヤバイよ─────っ! 香穂先生の顔が怖い!!
とても言葉じゃ形容できないくらい怖い!!
大事なことなので二回言いました!
香穂先生はゆっくりとチョークを入れている小さな箱から持ち前のチョークを一本取りだし───
「HRでは…静かに、大人しく、席に座って話を聞きましょうね?」
───怒りを95%ほど含んだ笑顔でそれを投げた。
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