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「……とりあえず、この馬鹿は横に置いておいてもいいだろう。おい蒼井。成宮と何を話していたんだ?」
喚く瀬山を押し退けて、永村がそう訊いてくる。
ぎゃーぎゃー未だに瀬山が騒いでいるが、まぁ永村の言う通り横に置いておいてもいいか。
「ん? あぁ、あの転校生に学校を案内してくれって頼まれてたんだ」
「また何でお前に……」
「俺が訊きたいよ……」
いつも授業中に寝てるから暇そうに見えるのだろうか。
「まぁそれなら昼休みに行くのが無難だな。授業後の短い休み時間じゃ不可能だろう」
「あぁ、そうだろうな」
さっきも言った通り、この学校はとてつもなく広い。
学年ごとに校舎を分けてある上に本棟があり、それだけで校舎は4つ。
その全てを案内するのは昼を使っても厳しいところだ。
「まぁその時は私も一緒に行ってやろう」
「え? いいのか?」
「なんだ蒼井。私では不満か?」
「い、いや! そんなことないっす!」
「ならいいではないか。それに、私もあの転校生とは話がしたいんだ。お前ばかり転校生を独占するなんてズルいぞ」
「…………………」
な、何か今永村の可愛い一面を見た気がする。
あくまでも俺の主観だが。
「……その無言は肯定と受けとるが、いいんだな?」
「……あぁ、頼むよ」
まぁ、永村ならいても差し支えはないしな。むしろ頼りになる人材だ。
そして、二人と話している内に授業を担当する先生が入ってきて、時間は流れるように過ぎていった。
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