580人が本棚に入れています
本棚に追加
「止まれ蒼井」
身を隠したり、ほふく前進したりしながら廊下を進んでいると、永村が肩を掴んできた。
「な、バカか!? 今俺が止まれば───」
シュッ……。
振り向いた瞬間に、ボールペンが頬を掠める。
あ、危ぇぇぇ…っ!
「───と、とまぁ、止まると殺されるんだ。だからその手を離してくれ!」
俺は永村の手を振り払って、再びほふく前進を始める。
「だから…止まれと行っておるだろう!!」
ズガンッ!
と、突然地響きのような音が廊下に響いた。
「……バカかお前は。いや、バカか。お前があまりにもバカすぎて一緒にいる私たちが恥ずかしいんだ」
永村は長いため息を吐いて、拳を俺の真上に持ってくる。
「三秒以内に立ち上がれ。でなければお前の背中に風穴を空けるぞ」
「え、ちょっ待───」
「3………───0」
「今間がなかったよ!?」
「知るか。私は気が短いんだ」
「そういうレベルじゃないよね!?」
「うるさい黙れ。殴られたくなければとっとと立て、この阿呆が」
永村は額に微かな怒り十字を浮かばせながら、ゲシッと俺の背中を蹴る。
これ以上永村を怒らせるのもマズイので、俺は素直に立ち上がった。
最初のコメントを投稿しよう!