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永村の背中を勇ましく思いながら、俺は学校の施設を頭に浮かべる。
まず食堂だろ…職員室…視聴覚室…体育館…武道場…。
施設が多すぎてどこから行こうか迷う。
いろんなことに考えを張り巡らせていると、不意に間の抜けた空腹の音が響いた。
「やべぇ…腹減ったなぁ」
朝から連中と戦ったり、いろいろと気を使ったりと、疲れることばっかりだった。
朝ごはんをちゃんと食べていても、腹は自然と減ると言うものだ。
「……まずは食堂かな」
案内する順番が決まった。
俺は財布があることを確認してから、永村と橘の方に向かった。
「お、蒼井。決まったか?」
「一応な。まずは食堂に行こうと思う」
「それもそうだな。私も腹が減っていたところだ。蒼井のくせに気が利くじゃないか」
「くせにってなんだ、くせにって」
確かにこんな俺だけどさ。
永村は、橘に目を向けた。
「飛鳥もそれでいいか?」
「いいも何も、私この学校のことなんて知らないから頷くしかないじゃない」
橘はぶっきらぼうにそう言って、腰に手を当てる。
「だ、そうだ。蒼井、案内」
「………………」
確かに案内するのは俺だけどさ。
せめて着いてくるならもう少し大人しくしててくれないか?
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