出会いは突然に───

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    ○ ○ 「もう少し早く歩けないの? 休み時間がなくなっちゃうわよ?」 「そうだぞ蒼井。貴重な休み時間がなくなったら貴様を恨むからな?」 「………………」 お前ら…少しは案内する側の気持ちを考えろよな。 『おい蒼井! 美女二人も連れて羨ましいなぁ!』 「………代われるなら代わってやるよ」 知り合いとすれ違う度に同じようなことを言われる。 しかし、よく考えてみてくれ。 転校生はいいとしても、もう片方は無敵の永村結だぞ。 間違って変な目で見てみろ。その先に待つのは肉体的死か社会的死のどっちかだぞ。 そんな感じに校内を歩いていると、一際賑やかな場所───食堂にたどり着いた。 『おい! その券は俺のだぞ!』 『デザートはあたしがもらうのーっ!』 『あっ! テメェ何勝手に盗み食いしてんだよ!』 食堂はやはり、というか何というか、殺伐としていた。 券売機の前では食券を取り合っていたり、はたまたカウンターでは最後の一品を賭けてバトってたり、テーブルでは飯の取り合いが行われてたりと実に賑やかだ。 あぁ…今日もやってるなぁ。 ちなみに、食堂での争いは日常茶飯事的に行われていて、今日のこれはまだ大人しいほど。 酷いときには、皿が飛び交うらしい。俺はまだ見たことないが。 そんな少し危ない場所に、俺たちは足を踏み入れた。
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