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学校への通学途中、俺は何気なく空を見ていた。
空は薄暗く雲がかかり、太陽には影が射していた。
見事な曇りだ。どうしよう…雨具なんて持ってきてねぇよ。
まぁ、四月は天気が変わりやすいって言うし、晴れるだろう。というか晴れろっ。
そんなどうしようもないことを思いながら俺は通学路を歩いた。
俺こと蒼井幸人(アオイユキト)が通う学校───藍ヶ咲学園はまぁ普通の学校だ。どこを取っても平均線。
そんな学校に入学して早一ヶ月が経っている。
時間は過ぎるのは遅い割に、過ぎてから思い返すと早いんだよな。
ちなみに、今の時間はすでに登校時刻をとっくに回っている。
いや、急いだ方がいいんだけど…なんというか今はそんな気にもなれないんだ。
正直に言おう。ダルい。
「うーっす幸人ー」
俺が欠伸を吐きながら歩いていると、左の道の先から声が聞こえてきた。
「なんだよ。すげぇダルそうだな」
「うるせぇよ。放っとけアホ」
「まぁまぁ。そんなに怒るなって。ほら女の子の写真あげるからさ」
「いらん」
手渡された写真を真っ二つに引き裂いて空中に放る。
「あーっ! 俺の秘蔵コレクションがぁぁあっ!!」
「………………」
ったく…朝からめんどくさい奴と出会ってしまったな。
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