プロローグ。

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「で、幸人。お前なんでこんなとこにいるんだ?」 「それはこっちの台詞だ。そっちこそなんでここにいる」 「俺は夜中まであれをやってたら寝過ごしたんだ」 アホだなこいつ。 こいつは瀬山大地(セヤマダイチ)。世界一のアホ。ちなみにこれは過言でもなんでもない。事実だ。 そして、どうしようもない変態。これも事実。 さらに言うならギャルゲマニア。趣味は美少女の盗撮。例によりこれだって事実だ。 簡単にまとめると── 「瀬山は人類の汚点ってことだな」 「いきなりなんですかあんたは! 失礼にもほどがあるだろ!?」 おっといけない。口が滑った。 「まぁそんなことはどうでもいいか」 「どうでもよくないっ!」 「いいか瀬山。人生割り切るのも肝心だ」 「こんな小さな場面を諦めるのもどうかと思いますっ!!」 「ごちゃごちゃうるせぇな。ほら、あそこに可愛い女の子がいるぞ」 「えっ!? どこどこ!?」 「んじゃ、また教室で、な!」 俺は美少女を探して首を振り回す瀬山を見て、一目散に走り出す。 こんな奴と一緒に先生のとばっちりを食らうのはごめんだからな。 生憎、校門はすぐそこにある。くぐれば勝ちだ。 俺はそう思って全力で駆け出した。
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