580人が本棚に入れています
本棚に追加
/57ページ
「で、幸人。お前なんでこんなとこにいるんだ?」
「それはこっちの台詞だ。そっちこそなんでここにいる」
「俺は夜中まであれをやってたら寝過ごしたんだ」
アホだなこいつ。
こいつは瀬山大地(セヤマダイチ)。世界一のアホ。ちなみにこれは過言でもなんでもない。事実だ。
そして、どうしようもない変態。これも事実。
さらに言うならギャルゲマニア。趣味は美少女の盗撮。例によりこれだって事実だ。
簡単にまとめると──
「瀬山は人類の汚点ってことだな」
「いきなりなんですかあんたは! 失礼にもほどがあるだろ!?」
おっといけない。口が滑った。
「まぁそんなことはどうでもいいか」
「どうでもよくないっ!」
「いいか瀬山。人生割り切るのも肝心だ」
「こんな小さな場面を諦めるのもどうかと思いますっ!!」
「ごちゃごちゃうるせぇな。ほら、あそこに可愛い女の子がいるぞ」
「えっ!? どこどこ!?」
「んじゃ、また教室で、な!」
俺は美少女を探して首を振り回す瀬山を見て、一目散に走り出す。
こんな奴と一緒に先生のとばっちりを食らうのはごめんだからな。
生憎、校門はすぐそこにある。くぐれば勝ちだ。
俺はそう思って全力で駆け出した。
最初のコメントを投稿しよう!