プロローグ。

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「うぃーっす、瀬山大地ただいま学校へやって参りまし──」 呑気に扉を開けて瀬山が教室に入ってくる。 そんな瀬山に永村はゆっくりと髪を靡かせながら近づいていった。 「瀬山。随分と遅い出勤だな」 「お、永村。おはよ。俺はいつでも社長出勤なんだ。いいだろ~」 「ほほう。それはすまない。危うく貴様を地獄のその先を見せてしまうところだった──」 「そうかそうか。まぁ俺は寛大だからな。許してやるよ」 「──とでも言うと思ったのか? 瀬山大地。光栄に思え、貴様は私自ら葬ってやろう」 「……え? マジ?」 「あぁ。大マジだ。──覚悟しろ、瀬山」 「えっ!? ちょっま───」 ドガッ! バキっ!! 「ふんっ。遅刻を反省しない貴様が悪いんだ」 永村は瀬山……もとい死体を一瞥して、再び俺の前に歩み寄ってきた。 「交渉成立だ。蒼井、貴様の遅刻は見逃してやろう」 「ありがとよ」 死体が教室の扉の前に転がっているが…まぁ知らないフリ知らないフリ。 「そういえば永村」 「なんだ?」 永村は腕捲りをしながら振り向いた。 「次の授業ってなんだっけ」 「次は物理だ。確か物理室で実験をやると言っていたな」 物理室か…。遠いな。 「早く行かないとまた遅刻扱いで成宮教諭にこってり絞られるぞ」 「おう。少し待ってくれ永村。今準備するからさ」 「わかってる。早くしろ蒼井。私まで遅刻扱いになったらどうするつもりだ」 「急かすなって。……よし、行くか」 「そうだな。死体は──まぁ捨てとくか」 ………。 俺と永村は道具を持って物理室の方へ向かって教室を出た。 空は、依然として灰色がかっていて、校舎内では蛍光灯に頼らなければならないほど暗い。
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