プロローグ。

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この学校の校舎の造りは意外と複雑にできている。 まず各学年それぞれに別々の校舎。 一年棟、二年棟、三年棟、まぁそこは説明しなくてもわかるか。 そして一年棟と二年棟を繋ぐ役割と、教師たちの拠点となる本棟。 この本棟には職員室、会議室、理科系の実験室、図書館、生徒会室など特別な時のみ使用する教室が集まっている。 俺と永村が向かっている物理室もこの本棟に設置されていた。 「あぁ、蒼井。お前は先に行っててくれないか?」 本棟の階段を登っていると、永村が何かを思い出したように立ち止まった。 「ん? どうした?」 「いや、私は少し寄るとこがあるんだ。今思い出した」 「え、でももうすぐ授業始まるぞ?」 「大丈夫だ。物理の山下には許可を得てある」 「そうか。じゃ、まぁあとでな」 「あぁ。お前も、サボるなよ?」 「わかってるって」 俺は階段の途中で永村と分かれて、物理室に向かう。 『早く席に着けー。チャイム鳴るぞー』 物理室に着くと、眼鏡を掛けた定年近い男の先生が呼び掛けをしていた。 物理の先生で、ゆっくりとした流れで詳しく教えてくれ、生徒教師共に人気のある人だ。 俺は急いで物理室の決められた席に着席した。
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