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『今日は前回の続きで────』
先生は黒板に板書をしながら揺ったりとした口調で解説を始める。
それを俺は適当に聞き流しながら、ノートを取り窓の外に首を捻る。
そのあとも授業は何気なく流れていった。
途中から永村も合流し、また普通に授業が流れていく。
───つまらない。
流れ行く平凡な時間の中で、空は曇り、見えていた道に影が射す。
何もかもが普通すぎて────
俺の中で何かを求めるようなざわめきが芽生え始めた。
────つまらない。
普通に過ごしていたこの世界に嫌気が差し、いつしか俺は………
普通に楽しむことを放棄していた。
だが、俺は何もわかっていなかった。
何故ならその兆候も、前触れも何もなかったんだからな。
これから俺に降り注ぐ災難も───
そして、これからやって来る…
───人生を変える瞬間にも───
何一つ予期していなかった。
歯車のスイッチは、突然…そして誰にも気づかれずに入れられた。
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