想い

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恋なら何度かした。 ふられたことなんかなかった。 だけど、なんで? どうして? それだけが募る。 私は佐伯知海〔さえきちかい〕。 高校2年生。 成績優秀、スタイルはいいほうだと言われる。 今日まで恋した数は、はっきり言ってわからないけど、1回だけ、辛い恋をしたことは、 覚えてる。 ───あれは、中2のとき。 私には、密かに想いを寄せる人がいた。 名前は舞原希在〔まいはらきある〕。 陸上部で、成績はよくはない。 私とはすごく仲が良く、下の名前で呼び合う仲だ。 ただ、仲がいい。 それだけだったのに、私には希在に対して、違う感情が芽生えていた。 「好き」 友達として、すごく大切に想えてくるようになった。 それ以上…、自分のものにしたいとも思った。 希在と一緒にいる時間が長くて、私の中の希在に対する「好き」は大きく膨れ上がる。 それと同時に、希在との友情が、私の中で崩れていくように感じた。 希在はどう思ってるのかな?? 同じ想いかな?? それとも真逆なのかな…? 不安になった。 希在は女子に対しても、男子に対しても優しすぎる。 だから、人気がある。 女子の中では、狙っている子もいる。 私は焦っていた。 なんとかして、私は想いを伝えなきゃと思った。 他の女子にとられる前に。 直接伝えるのは言いづらいから、電話で伝えることにした。 受話器を手にとった。 ダイヤルを押す。希在にあわせて。 私の心臓は爆発寸前だった。
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