2人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
恋なら何度かした。
ふられたことなんかなかった。
だけど、なんで?
どうして?
それだけが募る。
私は佐伯知海〔さえきちかい〕。
高校2年生。
成績優秀、スタイルはいいほうだと言われる。
今日まで恋した数は、はっきり言ってわからないけど、1回だけ、辛い恋をしたことは、
覚えてる。
───あれは、中2のとき。
私には、密かに想いを寄せる人がいた。
名前は舞原希在〔まいはらきある〕。
陸上部で、成績はよくはない。
私とはすごく仲が良く、下の名前で呼び合う仲だ。
ただ、仲がいい。
それだけだったのに、私には希在に対して、違う感情が芽生えていた。
「好き」
友達として、すごく大切に想えてくるようになった。
それ以上…、自分のものにしたいとも思った。
希在と一緒にいる時間が長くて、私の中の希在に対する「好き」は大きく膨れ上がる。
それと同時に、希在との友情が、私の中で崩れていくように感じた。
希在はどう思ってるのかな??
同じ想いかな??
それとも真逆なのかな…?
不安になった。
希在は女子に対しても、男子に対しても優しすぎる。
だから、人気がある。
女子の中では、狙っている子もいる。
私は焦っていた。
なんとかして、私は想いを伝えなきゃと思った。
他の女子にとられる前に。
直接伝えるのは言いづらいから、電話で伝えることにした。
受話器を手にとった。
ダイヤルを押す。希在にあわせて。
私の心臓は爆発寸前だった。
最初のコメントを投稿しよう!