見上げれば空。足元に道。

3/34
前へ
/34ページ
次へ
まさに怪しさ100…いや、1000%越。 こんな男に近づく人など居るはずもない………と、 スクール水着を肩まで下ろし、両手でこぼれおちそうな巨乳を隠した、三つ編みメガネっこの表紙を拾おうと手を伸ばしたときだった。 すっと… 細くて真っ白い華奢な指先が、 有希の手よりもさきに、そのピンクな同人誌を拾い上げると、 綺麗に揃ったデニムの膝の上に置いて、撫でるように埃を振り払い、 両手でそれを差し出してきた。 「はい、どうぞ。大丈夫ですか?」 まるで太陽のようにきらきらと輝く、 嫌味のない笑顔とともに。 トーンの高い澄んだガラスのような声。 気のせいだろうが、 ライムのような爽やかな香りが鼻を掠め、 光に反射してキラキラと輝く、茶色を含んだ髪が、 白い頬を撫でるように風に揺れていた。 「!!!」 くっきり二重に大きな漆黒の瞳。 熟れたチェリーのように、ぷるんと潤う薄紅の口元は綺麗な弧を描き、 ふわり…と、 上質上等な、 まさにその道の匠が手がけた超高級マショマロ…まぁ食べたことも見たことも、そんな匠が居るのかよちくしょーって感じではあるが、 それくらい柔らかくて甘い笑顔が、 有希が見上げたそこには、まっすぐと自分に向けられていたのだ。 ピンクの同人誌とともに。 「………………。」 これは…? これは…これは……………………………。 これはこれはこれはこれはこれはっっっっっ………………………………… キターーーーーーーーーーーーー!!!!!! 瞬間、 目に見えない雷が、 有希の全身を脳天からつま先まで一直線に貫いた。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加