落ちる

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  あなたがいない 離した手はからっぽ あなたがいない もう見つからない あなたがいない あなたがいなくても いつものようなわたしがいる 朝には起きて お腹がすいたらご飯を食べて 夜には眠る テレビを見て笑ったり 本を読んで泣いたりする そして気がつく おはようって 何食べよっかって おやすみって 笑い話も 感動した物語も 伝える人がいなくて 伝えたかった人がいなくて あなたがいない そう気づく そう気づくたびに わたしはあなたを失っていく あなたの記憶を 二人の思い出を あなたがいないって 気づくたびに失っていく 白い砂みたいに 風に吹かれるみたいに さらさらと、さらさらと あなたがいない 離した手は冷たい あなたがいない もう見つからない あなたがいなくて わたしまでいなくなりそう  
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