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1990年 東京―
「勇士、ここで待っててね。」
勇士「ママ‥?なんで泣いてるの…?」
「ごめんね‥。勇士、大好きだよ‥。」
泣かないで、ママ。
僕は大丈夫だから。
ママ、僕も大好きだよ…?
「…くん。」
勇士「……?」
「勇士くん!」
あれ?
夢、だった?
勇士「おはよ、原姉。」
原「おはよう、勇士くん。」
僕は、3年前から"ひまわり院"で暮らしてる。
簡単にいえば"孤児院"。
ここには友だちも、お姉ちゃんもいて、何も寂しくない。
原「竜也!!」
まただ…。
竜也「ギャー!ちひろお姉ちゃん!!いじめー!!」
また…。
竜也くんは原姉の近くに居る。
明るくて元気でみんなの人気者の竜也くん。
反対に、一人でいることが多い僕。
原姉は、いつも竜也くんに世話を焼いてた。
僕は、それがうらやましかった‥。
別に、原姉が好きとか、嫌いとかじゃなくて。
ただ純粋に誰かに甘えられる竜也くんがうらやましかった。
勇士「……グスッ。」
原「竜也!!もぅ!!」
僕は隅っこの方にしゃがみこんだ。
原「勇士くん!?」
勇士「…なんでもないです。」
やだ、涙とまって‥。
原「…あたしのことお母さんと思ってくれていいんだよ?」
勇士「‥ありがと。」
結局、それから2年間。
僕は甘えることも、"勇士"って呼ばれることもなかった。
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