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勇士「…ふぁー‥。」 8歳になった頃、2人の女の子がやってきた。 麗子「久野麗子です。仲良くして下さい。」 少し控えめで、おとなしそうな女の子と、 恵美花「黒田恵美花です!よろしくお願いします!」 元気でよく笑う女の子だった。 恵美花ちゃんも、麗子ちゃんも、竜也とすぐに仲良くなった。 ある時だった。 恵美花「ねぇ、勇士!」 勇士「なに‥?」 いきなり呼び捨てで、しかも満面の笑みを浮かべていた。 恵美花「勇士も一緒に遊ぼ!」 勇士「俺は…いいよ。」 恵美花は困ったような、怒ったような顔をして、隅っこで座っていた俺を無理やり立たせた。 勇士「なにッ!?」 恵美花「勇士も一緒に遊ぶの!これ、当たり前♪」 この時の笑顔は、何年たっても忘れない。 そんな気がした、そんな笑顔だったんだ。 それから竜也、麗子、恵美花、俺でよく遊ぶようになった。 原姉も喜んでくれた。 勇士「え?」 恵美花「あたし、家族ができるの。」 それは突然だった。 2人が来てからまだ1年。 恵美花には親ができた。 別れは本当に突然で、恵美花は笑って去って行った。 その2年後、竜也も麗子も、そして俺も。 新しい家族のもとに引き取られた。 もう、二度と会えない。 その時はそう思っていたんだ。 11歳の夏。
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