2人が本棚に入れています
本棚に追加
勇士「…ふぁー‥。」
8歳になった頃、2人の女の子がやってきた。
麗子「久野麗子です。仲良くして下さい。」
少し控えめで、おとなしそうな女の子と、
恵美花「黒田恵美花です!よろしくお願いします!」
元気でよく笑う女の子だった。
恵美花ちゃんも、麗子ちゃんも、竜也とすぐに仲良くなった。
ある時だった。
恵美花「ねぇ、勇士!」
勇士「なに‥?」
いきなり呼び捨てで、しかも満面の笑みを浮かべていた。
恵美花「勇士も一緒に遊ぼ!」
勇士「俺は…いいよ。」
恵美花は困ったような、怒ったような顔をして、隅っこで座っていた俺を無理やり立たせた。
勇士「なにッ!?」
恵美花「勇士も一緒に遊ぶの!これ、当たり前♪」
この時の笑顔は、何年たっても忘れない。
そんな気がした、そんな笑顔だったんだ。
それから竜也、麗子、恵美花、俺でよく遊ぶようになった。
原姉も喜んでくれた。
勇士「え?」
恵美花「あたし、家族ができるの。」
それは突然だった。
2人が来てからまだ1年。
恵美花には親ができた。
別れは本当に突然で、恵美花は笑って去って行った。
その2年後、竜也も麗子も、そして俺も。
新しい家族のもとに引き取られた。
もう、二度と会えない。
その時はそう思っていたんだ。
11歳の夏。
最初のコメントを投稿しよう!