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「ブランカは私の良き戦友だった あるとき私は、洞窟のドラゴンを倒すように言われた それを聞き付けてブランカも同行したの」
レイチェルは黙ってリースの話を真剣に聞いた
「私は…その時に止めればよかった…でも止められなかった」
リースは暗い表情で話を続ける
「私達が戦ったのは茨の竜と言われる草のドラゴンよ 洞窟はレザルの巣窟」
レイチェルは口を開いた
「レザルって、おとぎ話に出てくる伝説の獣の?」
「そう あの近くで巨大な獣の足跡が見つかったのが由縁らしいの その巣窟に茨の竜が住み着いてしまったの 私達はその竜の討伐に向かった だけど…」
リースが表情を曇らせた
「なにがあったの?」
レイチェルは聞いた
「彼は…あの竜の捕われの身になってしまった 今も…一年と半年間ずっと…」
レイチェルは目を見開いた
「生きてる…保証は…?」
レイチェルの声は歪んでいた
「…」
リースは黙って首を振った
レイチェルはぺたんと座り込み俯いて声もなく泣き出した
「でも死んだ訳じゃないわ 私も…そう信じたい…」
リースはしゃがみ、レイチェルを抱き寄せた
レイチェルは泣きながら
「行こう…巣窟に」
「え?」
「お父さんを…助けに…」
レイチェルは立ち上がり、服を正し、帽子をかぶり、杖を持ち直した
「助けよう 絶対に」
レイチェルは威勢よく言い放った
「…そうね、行きましょう」
リースは涙を拭い、服を正した
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