序章

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小学校4年生ぐらいだった。 当時 俺達はマセていて 俺の母親が録画していた 恋愛ドラマを ふたりで見るのに ハマっていた。 恋なんて したこともなくて 内容なんか 全然理解していなかった。 だからもちろん どんなドラマだったかなんて 全く記憶に無い。 …誰と、見ていたのかさえ。 記憶には残っていない。 ただ1シーンだけ 覚えてることがある。 主役の女優に 相手役の俳優が かっこつけて言うんだ。 『俺は君のためなら 死んだっていい。 本当だよ。 それほどに君を 愛しているからだ。』 感動したわけじゃない。 理解もしてないし。 この台詞が丸々そのままかと 聞かれると自信もない。 初恋もまだのくせして 「おれ、どんなに好きでも ぜって-死ぬとかやだ。」 とか語ったりしていた。 黙って聞いてた"友達"が言った。 「ん-。でもおれは、 陽太のためなら 死んでもいいとおもうよ!」 顔も思い出せないのに その後、俺がなんて言ったかも 全く覚えていないのに。 俺のためなら死んでもいいと 明るく言ったことばだけが 俺の頭にずっと残っている。 そんなことを ふと思い出したりもする。
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