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「え-と。今日は。
転入生を。紹介します。」
入ってきた瞬間
ちょっと女子の歓声が上がった。
背が高く、いかにもイケメン。
「濱田 亮介(ハマダ リョウスケ)です。」
1限が終わったとき
そいつの周りはいっぺんに
女子だらけになった。
確かにうちの学校の
編入試験をパスしたイケメンって。
わかるけど。
うちの高校は
2年になると半分が
選択授業になる。
だからクラスはあっても
そのクラスで授業なんか
ほとんど無い。
俺は4限は善人と一緒で
いつもの庭に向かっていた。
向こうからサキが
袋いっぱい提げて歩いてくる。
「陽太、昼ごはんは?」
「弁当あるよ」
「善人は?」
「弁当。」
庭にどさっと座って
サキが空を仰いだ。
「俺やっぱ英語わかんねぇ!
ねぇ、善人教えて-。」
善人は俺等の中で
一番文系が得意なのだ。
「だって、陽太。」
「えっ、善人にゆってんでしょ」
そんな言い合いをしてると
サキが急に声を上げた。
「あれ、ゴ-と転入生じゃね?」
指差した先で
ゴ-が転入生と歩いていた。
「さすがゴ-早いな。」
ゴ-は誰とでも
仲良くなるのが早い。
実際俺等とは1年のとき
関わったこともなかったが
気付いたら仲良くなっていた。
ゴ-が転入生を連れて
ひらひら手を振りながら
近づいてきた。
「いやぁ、3・4限一緒でさ。
仲良くなったから連れてきた!
俺が女子から庇ってやったぜ!」
フン、とした顔で座り
転入生に横を促した。
「一緒してもいいかな?」
爽やかな笑顔で
俺等に向かって話す。
「いいよ、仲良くしようぜ!
俺、川崎裕!サキでいいから!」
サキは入りこそ苦手だが
軌道に乗ると早い。
「このメガネが中原善人!」
「お前が紹介すんのかよ」
「おう!こいつが真島陽太!
見かけによらず頭良いんだよ」
すると転入生の顔が
ちょっと変わった。
「…陽太…?」
俺の顔を見ながら
俺の名前を少し呟いた。
不思議に思う間もなく
シュンの声が後ろから聞こえた。
「あれ、増えてる。」
「あの細いのは三好駿平!
シュンでいいから!」
その瞬間シュンは笑って
「よろしく~。
えっと、誰だっけ~?」
実は俺もさっきから
名前が全く思い出せない。
「濱田亮介。
亮介って呼んでくれたらいいよ」
その日から
亮介も一緒につるむようになった
亮介はその見た目で
女子からの人気は高かったけど
亮介が興味を示さなかった。
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