29人が本棚に入れています
本棚に追加
一体、何が起きたのだろう。胸騒ぎがしてサシャは、ベッドを降りた。
着替えを済ませて、広間に向かう。ネリーが、ソファで寛いでいたので、サシャは、ネリーに一声掛けた。
「私、イリスへ行って来る。ネリーちゃん、お留守番、バトンタッチ」
ソファに寝そべったネリーが、軽く手を振る。遊び疲れたのか、ソファに添えてあるクッションを抱き締めたネリーは、サシャへとは振り向かなかった。
サシャは、表へ出る。イリス管理棟には一度だけ、ユーリのお弁当を届けに出向いただけだ。途中で、馬車を拾うしかないと決めて、繁華街へと歩みを早めた。
住宅地を抜けて、空き馬車を拾う。乗り込もうとしたところに、第一等星警備警察隊隊長と肩書きを背負った人物に、呼び止められた。
振り向いた先には、黄髪黄眼の青年が居る。サシャが戸惑って居ると、青年が無言で、馬車に乗り込んだ。
馬車が、出発する。サシャは、青年にカリンからのメルのことを話した。
「イリスはいつも変な現象を起こすんだ。今に始まったことじゃない」
「それは、知ってるよ。でも、もし、今の時代に不都合があれば、未来は簡単に変わっちゃうんだ」
サシャは、不安をぶちまけた。
最初のコメントを投稿しよう!