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「え、博士がイリスに食べられたんですか?」
監獄島第一等星事務所の入口で、副隊長のスピカは、声を裏返した。
「カリンさん、中へどうぞ。詳しい話を教えてください」
スピカは、カリンを仕事場に誘導する。
丁度、作業が一段落したばかりの部屋には、隊長以外の面子が揃う。呑気に、茶を啜っていたヒルが、スピカとカリンの慌てように目を向けた。
「どうしましたかな。お二人とも」
「いえ、それが、カリンさんのお話が分からなくて。皆さんにも聞いていただこうかと思いまして」
スピカが、カリンを座らせようと椅子を準備する。カリンが泣きそうな顔で、椅子に座る。給湯室からはアスカが、お茶を持って現れた。
「こんばんは。カリンさん。大丈夫?」
心配気に茶を机に置いては訊ね返すアスカに、カリンが小さく頷く。それでもカリンの表情は青ざめており、尋常では無いことだけが示されていた。
「とりあえず、落ち着いてからにしませんか。スピカ副。急ぎではないのですよね? カリンさん、無理して喋らなくても大丈夫ですよ」
「アクス様は黙ってくださいませ」
カリンが、苛立ち混じりに声を響かせた。
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