stage 1

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 今朝の話になる。  ユーリ邸に居候する事になったサシャは、同じく居候のカプリと日用大工に励んでいた。この邸に住まうファムという女に頼まれて、小銭壷を列べる為の棚を作っている。  サシャは、未来からやって来た誰かの娘だ。ユーリ邸に居候して半月、未だに両親の手掛かりは見付からない。それもその筈で、この時代ではサシャは産まれていない。どうやら時間を間違えて送り込まれたらしい。それでも、島に居る誰かの子供であることは確かだと、サシャは、この時代で両親を探すことに決めたのだ。 「隊長さんも、どうして飛ばす時間を間違えたんだろうな?」  カプリが、鋸で板を斬る。斬れた板を受け取った、サシャが、欠伸を噛み締めた。 「分かんない。隊長さんは、何時もぽけっとしてるよ。機敏に動いてるのを見たこと無いな」  サシャが、釘を取り、板を打ち付ける。庭には、耳障りな音が反響する。 「戦うときはかなり速いよ。だけど、サシャ。両親を見付けてどうするんだ。手掛かりもないんだろ」  カプリが、釘が打ち終わるのを待って訊ねる。 「どうって、どうして置いてきぼりにされたのか知りたいから、私が産まれてくるまで待つつもり。未来に帰っても居場所、無いから」
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