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第一話 [月と少女と行き倒れ]
その夜はとても月が綺麗で、私は部屋の窓からその月を眺めていた。
輝く満月の光が照らし出す街はとても静かで、まるで時が止まっているかのような気さえする。
そんな穏やかな時の中でゆっくりと目を閉じて思い出す。
あの頃の私はバカで何も知らなかったから、一緒に居た時間を当たり前のように通り過ぎてしまった。
それでも君と過ごした時間は今でも色褪せない。
その記憶があるから、もう何も怖くないし、悲しくもない。
沢山の勇気と少しの後悔をくれた思い出を、最後まで離さない。
ゆっくりと目を開ける。
視界の中で輝き続ける月。
その姿はあの時と同じ。
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