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車内は別に会話とかなくて。
BGMが2人の間を通り抜けていく。
でもこの沈黙もいいなって思える空間。
それを壊すのは君。
「亀と赤西が付き合ってる事知ってたんですか?」
顔は前を向いたままで、でも声は切なそう。
「今日赤西から聞いたの。
正直ビックリしたけど、まぁお互いの気持ちが通じ合ってるならいいんじゃない?」
俺の答えに俯く友達くん………あれ?
大事な名前聞いてないや(笑)
「ねぇねぇ、名前、聞いてなかったね。教えてよ。
俺は中丸雄一。よろしくね」
ちょうど信号は赤。
君のほうを向くと、君の顔も赤。
「俺は、上田。」
言ったら上田は俯いた。
なぜ名字だけ?(笑)
聞こうと思ったら、ちょうど信号が青になった。
「…下は?」
「教えない。
呼ばれるの嫌い。
上田でいい。」
…沈黙。
しつこく聞いてもよかったけど、触れて欲しそうじゃなかったのでやめた。
…さっきより少し重い沈黙。
またもや沈黙を破ったのは君。
「KAT-TUN、好きなの?」
今流れてる曲を歌ってるのがKAT-TUN。
けっこう流行ってるらしくて。
KAT-TUNは前付き合ってた彼女が好きで。
だから、このCDは彼女の欠片。
「いや、前の彼女が置いていったの」
何でこの一言を言うのにこんなに罪悪感が広がるのか、今の俺には理解出来なかった。
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