序章
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―夜― ―甚内は悪夢を見ていた。 ―城を出た理由、 ―出奔の身となった日の事を。 汗を滝のように流し、苦しむ甚内の様子を若い娘が心配そうに見守っている。 甚内は目を覚ます。 「お気付きになられましたか?」 「ここはどこにござる…」 「山奥の一軒家にござりまする」 奥の襖が開き、男が覗き込む。 「それがし…」 「…あなたが倒れている所を娘が見つけ、ここまで運び込んだのでござります」
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