序章

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「かたじけない…」 起き上がろうとする甚内を見て娘が慌てる。 「…お侍様!」 「お医師どのが安静にと申されておりました」 「無理をすれば傷口が割れて血が出ます…」 「…何日が過ぎました」? 「三日が過ぎましてございます」 「…」 「水をくれぬか…」 「はい。すぐに」 娘が水を汲んで甚内に飲ませた。 「お手数をかけましたな…」 「それがしの差料はどこにござる?」 「…隣室に保管してございます…」 様子をうかがっていた男が女に声をかける。 「お美代」 「粥を持ってまいれ」 「はい。お父上」 お美代は粥の支度を始める為に甚内の傍を離れた。
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