しつこくて憎めない奴ら

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ビレンは腰に巻いていた短剣を掴んだ。 「よし、言ったな!?言ったな!?か、覚悟しろ!」 「…わかったからさっさと来いって。」 なけなしの勇気を振り絞り、シアン王子に突進した。 「うおおおおおーーーーーーーーーー!!」 瞬間、目の前が光に包まれたかと思ったら… 暗闇に変わった。 ―…き、……にき、 「兄貴!!」 「ふぉっ?」 いきなり大声が脳内に響き、ビレンは驚いて目を開けた。 そこには心配そうにビレンを見下ろすアクターとザクオの姿が。 「あれ、俺…、…っ!」 起き上がろうと思ったら、後頭部に鈍い激痛。 どうやら、先ほどの場所で大の字になって倒れていたらしい。 意識が覚醒していくにつれ、段々と思い出していくついさっきまでの出来事。 「そっか…俺、あの坊ちゃんにやられちまったのか。」 チッと舌打ちして起き上がる。 本当に強くなっていた。ビレンは茂みからやり取りを何度か見ていた。リカルドとハガンに鍛えられていた二人を見ていたが、この短期間にあそこまで成長するとは思えなかったのだ。 それが、最大の誤算だ。 「兄貴、大丈夫っすか?」 アクターの心配そうな声に気づき、「油断したぜ」と一言。 よく見ればザクオもアクターもビレンと同じくらいボロボロだった。 「お前らも戦ったのか…」 「兄貴よりかは手加減してもらいましたがね…」 「兄貴!生きててよかったです!」 確かに善良なシアン王子はビレンたちを殺すまでに至らなかったらしい。 いつもなら、これはチャンスだ!と立ち上がるのだが… あまりのシアン王子たちの成長ぶりに、これからは諦めたほうがいいのかもしれない、という考えも浮かんだ。 だけど、そうしたらビレンたちの目標はなくなってしまう。 手を引くべきか引かざるべきか。 迷っているビレンの前に、突然ゴーストが現れた。
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