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一方、東へ進行しているシアンたちは、背後でなにやら叫び声が聞こえたのだが、たいして気にする様子もなく黙々と歩き続けていた。
「おいおい、この声…」
「ほっときましょう、リカルド。あのハイエナ達よ。」
「ああ、ハエか。」
「俺は犬ッコロに見える…」
ビレンたちの知らないところで結構酷いことを言われていた。
「でも、なんか…」
シアンは、一発でぶっ飛んで意識を失ったビレンたちのことを思い浮かべた。
「何度も俺にやられてるのに、まだ俺に勝てると思ってるみたいで…なんというか、微笑ましいというか。」
シアンの言葉にリカルドは苦笑した。
「おいおい。敵だぜ?あいつらは。」
「あ、それ私も分かるかも。なんか、間抜けで憎めないのよね…」
ライア姫もシアンの言葉に同意した。
二人の様子を見て、リカルドは「ふむ…」と頷いてなにやら考え事をした。
そうして結論に至った。
「敵なのに憎めない。何故か?それは、やつらが知識が低くて見ていて滑稽で楽しい気分になるから、という事か。」
「ガハハハハ!リカルドひっでぇや!」
「本当に酷いわよリカルド。私、そこまで思ってないわ。」
「なんか今度はあいつらが哀れに思えてきたぞ…」
ポツリと呟くシアン王子。
シアン王子がもう一つ憎めない理由は、あいつらは明らかに悪党なのだが、無邪気さも垣間見えるときがあるからかもしれない、と思った。
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