しつこくて憎めない奴ら

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「ヒェェェ!兄貴、こいつですよ、俺達のことずっとみていたゴーストは!」 ザクオがすっとんきょうな声で叫ぶ。 その態度にビレンは呆れた。 「こんな低級モンスターにビビってんじゃねぇよ。…つか、あれ?」 ゴーストとは見た目が少し違うことに気づいた。 「兄貴ぃ、こいつ、ガイコツのくせに黒い布纏ってますよ。しかも手には鎌…」 鎌? アクターは途中で気づいたらしく、ビレンと同じように顔を青ざめる。 状況が分かっていないのはザクオだけであった。 「え?なに?兄貴、アクター。どうしたんだ?」 「おまっ、…ゴーストだっていったじゃんかよ!」 「あ、あ、兄貴ぃ!ザクオは元海賊だから、死神のことをよく知らないんですよぅ。」 海賊で信じられてきた死神的ポジションは、大王イカであった。 状況が未だに理解できないザクオにビレンが早口で説明する。 「いいか、こいつは死神といってだな、稀に現れる神出鬼没モンスター…というか、妖精でもモンスターにも分類されない奴だ!」 「え?希少価値ってことですか?だったら捕まえ…」 「パカヤロウ!そんなことはどうでもいいんだ!いいか、死神に遭遇すると死ぬ確立がほぼ100%なんだぞ…!」 ビレンも噂でしか聞いたことがなかったからこれから何が起きるのかすら予測がつかない。 ビレンの説明でようやく危機的状況を理解したザクオも、みるみる顔が真っ青になっていった。 「え?それって今ハイパーヤバスってことですか…?」 「ハイパーウルトラヤバスだ…!」 「最後にあんぱん食べたかった…」 二の句が告げない三人は、死神がこれから何をするのか固唾を呑んで見ていた。 すると、死神が動いた! 「ヒィィーーー!!」 ビレン、アクター、ザクオの三人が抱き合い、目を硬く瞑っていると。 『あちゃー。そのポーズは死亡フラグを減らしちゃうね。』 場の雰囲気にそぐわない、暢気な声が聞こえた。
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