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『もともと悪役ポジションなのにそんな偽りのことやったってどうしようもないよー。もうあんたたちは死ぬ運命なんだから諦めなさいって。』
「なんだそのバーゲンセールの時間終っちゃったから諦めなさいっていうおばちゃんノリの喋り方は!俺達の命はそんなに軽くないぞ!」
「そうだそうだ!」
命は平等だ、と叫ぶ三人を見ていて若干哀れに思えてきた死神。
『命は平等…ねぇ。"死"こそ平等なのだよDr.ビレン。』
「あっ…なんかどこかで聞いた台詞!…じゃなくて、何?俺達はじっとしてても何してても死ぬの??」
『そういうことだねぇ。君がさっき言ったみたいに、死亡フラグが減るような行動をやってみればいいんだろうけど。』
死神は、死亡フラグが立つことは分かるが、減らす方法はよく知らないらしい。
しかし、三人は「はいそうですか」と納得して死ぬことを認めるわけにもいかなかった。
そんな三人を見て、死神も少しは助けてやろうかな…などと、死神らしからぬ感情が芽生えてしまった。
『うーん。じゃあ、今君たちがどうして死亡フラグが100%になってないのか教えてあげるよ。今ね、君たちの死亡フラグは87%なんだけどさ。』
「高っ!!」
『15%は、シアン王子が君たちのことを"憎めない敵"と思ってるらしくてね。この感情は大幅に死亡フラグを減らしているみたいだね。ライア姫なんか、ビレン君のことをちょっと"かわいい"と思ってるらしいよ。』
「なぬっ!!」
これは死亡フラグならぬ恋愛フラグ…!?
思わぬライア姫の隠れた感情に有頂天になり、鼻の穴が膨らんだビレンである。
「いいないいなー兄貴!」
「さすが兄貴…モテモテ!」
『……。』
誰にでも湧きあがるであろう感情を、恋愛と変換してモテると勘違いする哀れな三人を見て、死神もシアン王子の気持ちが分かってきた。
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