下っ端で憂鬱な一日

3/3
前へ
/76ページ
次へ
「…てな訳で、俺はこうして一人前の盗賊から抜け出したわけだ。」 「へぇぇ!兄貴、カッコイイっすねぇ!まさかあの冷徹冷酷な悪魔をちょちょいっと倒しちゃうなんて。」 「さすが次期ボス候補と謳われただけのことはある…さすがです、兄貴。」 南砂漠地帯、ミナール砂漠。 その中心部にある、人の気配がない廃れた村で談笑の声が響き渡っていた。 浅黒い肌と短めの茶髪の両端に、小さな三つ編みをしている人物が元盗賊の下っ端として働いていたビレン。今は17歳になり、4年前の話をかなり捏造して、ヘタレた部分は上手く省略して話していた。 「それよりも兄貴ぃ、俺腹減った…」 「それよりもだと!?」 背が小さいこの男は、年中食べ物の事ばかりを考えている元山賊の下っ端、アクター。ビレンに誘われて山賊を抜けた。よく食べる割に身体は細く、意外に怪力だ。人の良さそうな顔をしているが、ろくでもないことしか考えていない。 「この細ブタめ。お前は私の聖域を汚した…!そして私は怪我した…!」 「面白くない。25点。」 「ザクオ…お前いい加減そんな前の話忘れてよ…」 アクターがやれやれといった様子でザクオを見る。 ザクオは元海賊の下っ端で、アクターが「イイ匂いがする…」とふらふら海賊船に潜入したことがきっかけで仲間になった。 菜食主義者のザクオは、部屋に食用植物を育てるのが趣味だったが、アクターに全て食べられ、ついでに怪我した。 長い前髪を顔に垂らし、根暗な性格の通りの陰気な見た目だ。キレたら銃を乱射する。 「いいか、お前ら。俺達の目的は何だ?」 「シアン王子とライア姫の持つ、"伝説の黄金指輪"を盗むこと!」 「そして、シアン王子が連れ歩く希少価値妖精、マームンを盗むこと。」 「そうだ。俺達ビレン団のしつこさを見せてやろうぜ!」 「おおーー!」
/76ページ

最初のコメントを投稿しよう!

141人が本棚に入れています
本棚に追加