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そのころ、シアン一向のすぐ近くの茂みに隠れて様子を窺っていたビレン団。
「うおーっ、やっぱ近くで見ると半端ないほど綺麗だな、ライア姫…」
「兄貴ぃ、ライア姫襲っちゃいます??ハスハス…」
「お、お前食い物だけに興味があると思ってたけど意外に…」
「え?美味しそうじゃないですか、ライア姫。」
「そ、そうか。」
変な意味に聞こえるな…などとビレンが思っていると。
「兄貴…ここから20メートル先に、ゴーストがいます。」
囁き声でザクオが伝えた。
「ゴースト!?スライムに次ぐ弱弱モンスターじゃねーか。ほっとけほっとけ。」
「いやでもなんかこっち見てるんです。」
「こっちを見ているくらいなんだ!お前は思春期の女の子か!?」
ビレンが強く言うと、ザクオはそれ以上何も言わなくなったが、ゴーストの視線が気になるのかその後もチラチラと後ろを気にしていた。
ザクオの心配もよそにビレンはどう夜襲をかけるか思案に耽っている。
「またとない絶好のチャンス…シアン坊ちゃまは弱気。ライア嬢も精神的ダメージが大きい。問題はどうやってあの用心棒二人を遠ざけるかだな。」
マームンが気配を感じているらしいが、所詮は癒し系妖精。一匹で何ができるというのか。
チャンスは思っていたよりも早く訪れた。
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