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シアン王子は寝る準備に取り掛かっていた。
「さて、灯りを消すか。寝ている間にモンスターに襲われるかもしれないから見張り番と交代で就寝しよう。」
「おいおい。貴族の坊ちゃまは明日に備えて寝てろって。ライアちゃんも。」
リカルドの思わぬ言葉にシアン王子とライア姫は焦った。
「でも…!」
「見張りくらい、大人にやらせてくれよ。」
「ガハハ!そうそう、お子ちゃまは寝る時間だ!」
子ども扱いをしている口調だが、その言葉の中には確実な優しさが含まれており、シアンは目頭が熱くなった。
「すまない…君達には迷惑をかけてばかりだ。」
「おっと、謝るのは無しだぜ。なぁライアちゃん?」
ライアの方を振り向き、ウインクしてみせるとライアはクスリと笑った。
「ええ。ありがとう、リカルド、ハガン。」
「じゃ、俺は南前方を見てくる。ハガンは反対を頼む。」
「合点!」
シアン王子は感謝の気持ちでいっぱいだったが、いつかこの思いを行動で示そうと誓った。
その時、マームンが茂みに向かって鳴いていた。
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