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「あれ、こんな所で  なにやってるんだ?」 「貴裕こそ、その本なに?」 蓮は貴裕が持っている本を 指差すと、彼は蓮に本を見せて ニコリと笑う。 「これは人魚姫だよ」 「なんでそんな本持ってんだよ?」 「小さい子に読んであげてたんだ」 「ふーん…」 蓮は貴裕から 本を受け取るとページをめくる そして一つのページで めくる手を止めた。 「どうした?」 「これ…海だよな?」 「そうだよ、どうかした?」 「俺、海行った事ない」 ボソリと呟かれた言葉に、 貴裕は目を丸くする。 「お、お前…  海行った事ないのかよ!?」 「うん…」 「それじゃあ…」 貴裕は少し 考えるそぶりをして、 蓮をじっと見つめる。 「な…なに?」 「今度海行こうか」 「え…?」 「俺が連れていってあげる。 とりあえず、部屋に戻ろうか」 貴裕はそう言って蓮の 手を引いて歩きだす。 あ…、痛い… 手を掴まれると同時に、 蓮の胸にズキッとした痛みが走る 「どうかした?」 「…別に」 痛みの理由が 何なのかわからない… 一体何なんだろ…  
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