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部屋に戻ると、 貴裕は椅子に座り 蓮をじっと見つめた。 「…何?」 「いや…、肌白いなと思って」 「外に出てないからだと思う」 ずっと病院にいて 日の光に当たってないから 肌が白いって言われるのは 当たり前だからな… 蓮は布団の中に潜り、 ふとある事を思う。 「貴裕ってさ、夏休みあんの?」 「あるにはあるけど…」 何だよ急に… と、貴裕は笑う 「だったらさ、仕事休めよ? 毎日俺といて面倒臭いだろ?」 こんな我が儘で扱いにくい 俺なんかといて普通だったら 嫌になると思うのに… 「そんな事思うわけないだろ?」 貴裕はそっと蓮の手を握る。 「心配してくれてありがとな?」 「うん…」 「今度休み取るから、 その日に海に行こうな?」 そう言いながら貴裕は 蓮の髪の毛を梳き始める。 「…っ」 蓮は少し身体を強張らせた… だが彼の手の心地好さに そっと目を閉じる。 「貴裕…」 「ん…?」 「早く行きたい」 「うん、待っててな?」 優しい温もりを頭に感じて 先程から夢と現実を さ迷っていた蓮は、 安堵の笑みを浮かべて、 眠りへと落ちたのだった。  
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