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「やっぱり貝殻で
切ったみたいだな」
絆創膏を貼りながら、
貴裕は小さく呟いた。
「別に痛くないよ?」
「そうなのか?」
「うん、心配ありがとう」
そう蓮は言うが、
貴裕はまだ不安そうに
彼を見つめた。
…たく、心配性だな
蓮は貴裕の不安を反らそうと、
“かき氷が食べたい”と呟いた
「かき氷?
買ってくるから待ってて?」
「うん」
貴裕が蓮の側を離れた瞬間、
彼は急に心の中にポッカリと穴が
空くような感覚に襲われた。
だが、貴裕がかき氷を
持って戻って来ると、
その感覚はなくなっていた
「ほら、苺味で良かったか?」
「うん!ありがとう」
口に含んだかき氷は
シャリっと音を立てながら、
蓮の渇いた喉を潤していく。
「おいしいっ」
「それは良かった。
俺の分も食べるか?」
「大丈夫だよっ、
貴裕が食べればいーじゃん」
“いらない”と
蓮が首を左右に振ると、
貴裕はニコリと笑ってかき氷を
差し出してきた。
「そんなに
美味しそうに食べられたら、
もっとそーいう顔が
見たいって思うだろ?」
「…なっ?!」
「だからほら、もっと食べな?」
「うん…っ」
なんで…
貴裕は優しいんだろ…
心配してくれたり、
俺の事を気にかけてくれる…
どうして…?
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