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「貴裕、持ってきたよ!!」
バタバタと廊下を走り、
蓮は自分の病室に入る。
貴裕は病院内の子供が
折り紙で作った星や雪だるま、
クリスマスの飾りを飾っていた。
「病み上がりなんだから、
少し落ち着きなさい」
「別に平気だし…」
「お前が良くても俺は心配」
貴裕はそう言うと、
蓮をギュッと抱き締めた。
実はつい数日前に、
蓮は体調を崩していた。
良くなったばかりの蓮を
貴裕が心配するのは当然だった
だが、
ただ寝ているだけ…という
のは蓮には退屈だったのだ。
「俺も飾りつけやるから
手ぇどかしてよ」
蓮は自分を包み込んでいる
手を外そうとするが、
貴裕は離そうとしなかった。
「貴裕、離せって…」
「嫌だ」
貴裕は
“ベットに入ってくれたら良い”
と、蓮の耳元で囁いた。
その瞬間、
蓮の心臓はドクンと跳ね上がる。
顔が熱くなるのを感じて、
蓮は俯いた。
…悔しい
貴裕は俺の顔が赤くなるのを
知ってて囁いてるんだ…っ
なんかムカつく…
「もう良いよ、
寝てれば良ーんだろ!?」
蓮の怒鳴り声に驚いたのか、
蓮を包む貴裕の腕の拘束が
ゆっくりと緩みだした。
そんな貴裕を突き放し、
蓮はキッと睨みつけた。
「…蓮?」
「何だよ、文句あんのか!?」
…貴裕は何も分かってない
俺の気持ちになんか
気付いてくれない…っ
ただ…
貴裕の傍にいれないのが
寂しくて…苦しくて…
傍にいたかっただけなのに…
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