君との出会い

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「――ん…」 誰かに呼ばれている 気がして目を覚ますと、 蓮の目の前には安堵の表情を 浮かべた貴裕の姿があった。 「調子は大丈夫か??」 そう言って彼は蓮の頭を 撫でようとして手を止めた。 「触られるの… 嫌なんだったよな?」 「………。」 別に俺は 潔癖症とかではなくて、 ただ貴裕に 触られた時の感じが あまりにも優しかったから… 大抵俺の側にいた人は、 何を望んでるのか わからないけど 俺に暴力を振るってきた。 それは病院の先生もだ。 だから、人に触られる事に 臆病になっていただけで……。 「触りたいなら、 勝手にすればいいだろ…」 布団に潜りながら 小さな声で呟くと、 少し経って蓮の頭に 温かいものが触れてきた。 その温かい貴裕の手は、 蓮の頭を優しく撫で始める。 そんな彼の 手の温もりに促され、 蓮はまた静かに目を閉じた。
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