28人が本棚に入れています
本棚に追加
/43ページ
数日が経ったある日、
蓮は何気なく窓の外を
見つめていると、
貴裕が彼の朝食を持って
部屋に入ってきた。
「おはよう!!
朝食持ってきたぞ」
貴裕はベットの上にある机に
朝食の入った皿を置くと、
蓮の隣へとやってくる。
「なんか良いもんでも
見えるのか??」
蓮がひたすら外を
眺めていたせいか、
貴裕は不思議そうに
同じように外を見つめた。
「んーっと……。
あそこのピンク色をしたやつ
何かなぁ~って思って」
そう呟いて指差すと、
貴裕は驚いて彼を見た。
「あれは桜だよ!」
「……さく…ら??」
聞いたことのない言葉に
思わず蓮は首を傾げると、
貴裕は何を思ったのか、
蓮の頭を軽く撫でて呟いた。
「桜…、見に行こうか?」
「………えっ??」
「外出許可取ってくるから、
朝食食べて待ってて」
貴裕は蓮にそう言い残すと、
部屋を後にした。
残された蓮はとりあえず
朝食のパンを頬張る。
「なんだ、これ…?」
蓮は不思議と身体に
広がる苦しいような
痛みに、顔を歪める。
なんか、胸が……
この時まだ
蓮は知らなかった。
この痛みの理由がなんなのか…。
最初のコメントを投稿しよう!