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そのあと俺は雅、大地のいた孤児院で暮らすことになる。 この指輪は、そのとき母の指から取ってきたものだ。 「…雅」 「ん?」 「お前、親の顔とか覚えてる?」 そう聞くと雅は「はぁ?」という顔をした。 「覚えてたらとっくに会いに行ってるし、声かけてるわ」 それもそうかと俺は思った。 雅と貿易会社社長の父親は血が繋がっていない。 孤児院から雅を引き取ったために親子という関係になったのだ。 いろんな思い出がつまった孤児院。 今はもう、ない。
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