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「えぇ。病院に搬送されて調べた時、眼帯を少しずらしただけで異常なまでの魔力の重圧がかかって、その場にいた医者のほとんどが気絶したわ」
「当時の七帝とギルドマスター。それに四方の賢者までも呼び、大儀式による再封印を施した。この話までは知っているんですけど……」
「右腕の事は私にも分からないわ。四方の賢者と国王、ギルドマスターだけが知っていた。既にギルドマスターはいないし、残りは国王と賢者たちだけね」
「今では封印を破る様子もないし、普通に暮らしている。それだけでもありがたいことだわ」
「そうですね。ウラク王国あたりだったらすぐに殺されていたでしょうし」
「フィラレツォだったからこそね。でももうあの子に心配はいらないわ。だって雷帝ですもの」
サクラは嬉しそうにアリアに笑いかける。
「はい。ゴハンできましたよ」
「美味しそうっ。やっぱりクーは上手だね」
「私にも今度料理教えてね、クロム」
「母さんに教えて貰ったものしか作れないよ。もうちょっと勉強してみる」
「それじゃ、いたたぎまーす」
アリアはリゾットを頬張ると、感激の表情をしていた。
「んー。美味しい」
「そうね。下味もいいし、なによりお米の具合が」
「ありがとう2人とも。母さん、明日は何か予定あった?」
「あっ!明日はミュールちゃんの通う予定の学園視察の護衛があったわ。まだ誰にするか決めてないんだけど……」
彼女は悩む仕草をしていると、アリアが助け船を出す。
「クーに任せればいいんじゃないですか?雷帝初任務としてもピッタリですし、なにより今まで空席だった帝が決まったんですからそのお披露目にも丁度いいです」
「いいわね!クロム、明日のは任せるわ。あんまり派手に人数は割けないから一人でお願い」
「わかった。ミュールがはしゃぎ過ぎないよう見張っとく」
「ミュールって飛び級したんだ。初めて知ったわ」
「あの子は昔から勉強できる子だったから。貴方達のおかげかもね」
意味深な笑顔で見つめる彼女に、2人はただ困惑するだけだった。
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