雷帝就任

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少年が空間転移で来た場所はとても美しい立派な建物であった。 塔の上には旗が掲げられ、荘厳さが溢れている。 彼は今大きな扉の前に立っており、ノックをした。 「クロム=オリヴァエル。唯今任務より帰還致しました」 「入っていいわ」 扉を開けるとガラス張りの壁を背にして置かれたデスクの傍に30代くらいの女性が立っていた。 「戻ってきたことからすると、任務は……」 「はい、無事達成しました。容疑者の逮捕はできませんでしたが」 「構わないわ。彼は元々処断するよう言われていたから。できれば、の話だったのよ」 彼女はそう言って少年、クロムに近づいてほほ笑む。 「おめでとう。貴方は晴れてギルド最高幹部、【雷帝】への就任が認められました」 「ありがとうございます」 「これはその証よ」 彼女は漆黒のローブと金色のエンブレムを彼に手渡す。 「こんなに立派になって……母さんは嬉しいわ」 「まだ仕事中だよ、母さん。今は二人だけだけど…」 「あら、アタシもいるわよ」 「――――――ッ!?」 突然声がした方を向くと、茶髪の少女が壁に寄り掛かっていた。 「おめでとう、クー。これでアタシたちの仲間入りね」 「いろいろありがとう、アリア。僕の相談とかに付き合ってくれたりもしてくれて」 「いいのよ。アンタが頑張りたいって言ったから手伝っただけだし」 「そうだぞ。遠慮することはない」 「あら、ガント。それにクリアも」 「こんにちわ、アリアさん。我々はクーの戦いを見ましたが……圧巻でした」 「そうだな、なんせ敵は100万。俺たちは相手してもせいぜい30万程度。その3倍以上の量をあっさりとやっちまうもんだから大変だ」 ガントがそう言うと、クリアも頷く。
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