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この国はフィラレツォ王国。4大王国の一つであり、クロムたちが住む国でもある。
城下町は非常に栄えていて、毎日賑わいが絶えることがない。
クロムがそんな城下町の王宮通りを歩いていると後ろから追いかけてくる少女がいた。
「アリア?」
「クー!アンタ馬鹿?!これ忘れているわよ」
彼女が差し出した手紙を見てクロムを思い出した。
「あっ。就任証明書忘れてた」
「もぅ……しっかりしてよね。いつまでもアタシに世話焼かせないでよ」
「でも、いつもゴハン作るの僕だよ。掃除もお風呂掃除も全部僕にやらせるじゃないか、アリアは」
「そ、それはクーのゴハンは美味しいし……お掃除もお風呂掃除もアタシより上手じゃない。お洗濯はやらせないけど……」
「僕はしないよ。洗濯くらいは自分でやってね?」
アリアにそう言うと彼は歩き出す。
「待って。アタシも行く」
「どうして?」
「王女様と久し振りにお話したいの」
「そっか。じゃあ行こう」
彼らが歩きだすと、商店街の人たちから小話が聞こえる。
「見て。風帝のアリア様よ」
「本当だ!でも隣の人は?漆黒のローブってことはあの人も帝だろ?」
「もしかして…最後の一人、雷帝じゃないかしら?」
「雷帝ってあの帝の中でも最強の?!」
「それしかないわ。初めて見る顔よ。他の6人が抜けたって話もないし」
町の人々からの小話が聞こえると、彼は恥ずかしそうにしている。
「アリア。なんか恥ずかしい」
「仕方ないわ。アンタはそれだけの地位ってことよ」
「そう、だよね。これから頑張らなくちゃ」
「うん。頑張ろう」
彼女に励まされながら、彼は王宮までの道のりを勇んで歩いて行った。
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