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王宮の門番にエンブレムを見せると中に通してもらい、玉座の間まで案内をしてくれた。
「では、自分はこれで」
「ありがとうございました。門番さん」
「それじゃ、行くわよ」
「うん」
彼らが意を決して玉座の間に入る。
「失礼します。急な参上を御許し頂けたこと、誠に感謝いたします」
「うむ。よく来てくれたな、アリア、クロム」
「畏まらなくてもいいのよ。昔からのお付き合いなんだし」
「ですが……」
クロムが言いかけると、アリアが素の状態で話を始めた。
「ありがと、おじ様、おば様っ」
「ははは。娘が一人増えたようで嬉しいよ。あとでミュールにも会ってやってくれ」
「はい。とりあえず、今日はこのクーからめでたいお知らせがあるのよ?」
「あら、なにかしら?」
王女、ユリア=フィラレツォが彼に尋ねる。
「これをどうぞ、陛下」
「もう、畏まらないで……まぁアナタ。この子ったら凄いわぁ」
「どれどれ……ほほぅ。素晴らしい子に育ったな、クロム」
「ありがとうございます。本日より、私の二つ名は【雷帝】のクロム=オリヴァエルとなりました」
「小さい頃から頑張っていたものねぇ、クーは」
「うむ。努力が実を結ぶ瞬間を見るのは何時でも嬉しいものだ」
ハルド=フィラレツォは息子を褒めるように祝福した。
最近の近況や、外の事などを話している内に時間も結構経ってしまい、2人は玉座の間を後にする。
「アタシは帰るけど…クーはどうする?」
「ちょっと、ミュールに顔出してくる。先に帰ってて」
「うん。それじゃ、またあとで」
アリアと別れると、クロムは姫の部屋へと向かった。
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