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心身に纏わりついた憂さを晴らすのに、
世界一フェラーリの似合わない男・浜ちゃんが、
僕の姉に拝み倒して一日だけ借りたそのツヤツヤの外車を運転して立ち寄った場所は、
恵比寿にあるオイスター・バー
準決勝敗退以来、元気とやる気をどこかに置いてきてしまった僕に、鋭気を養えって意味で選んでくれたんだろうけど…
「お前こそ、さっきからどんな顔してビールかっくらってんだ?そんなに苦いなら俺に飲ませろ畜生っ」
「ダメだよぉ、浜ちゃんは運転があるんだから…」
「くぁーーっ!!こんな旨ぇツマミを前にして飲めない自分の拳とお前の辛気臭い顔が憎ったらしいよ俺ァ…」
よほどあの時じゃんけんでグーを出してしまったのが悔しかったのか、浜ちゃんは苦虫を噛み潰した様な顔で、自分の拳にガシガシ噛り付いている…
素面でこの調子だもんなぁ…
酔ったら一体どうなるんだろ…
僕は何だかんだで、小競り合いを繰り返しながらも、そんな浜ちゃんの姿にいつも、結果的に元気を貰ってる気がする…
牡蠣とビールの効果もあってか、少しだけ活力が沸いてきて、僕は浜ちゃんを横目にクスリと微笑んだ
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