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ななよはいつも通りの返事だが、少し声が息切れている。
紅葉を先頭に人混みの中を掻き分けて進む最中、何度か手を離れそうになっていた。
引っ張っる方と引っ張っられる方では、やはり後者の方が取り残されやすい。
その為運悪く流れに阻まれ、人にぶつかってしまったのだ。
ただでさえ人混みで苦しいのに、小柄な少女2人が周りに圧迫されるのは地獄である。
その上ななよは無駄に重装備な為、さらに熱気によるダメージが重なり、ギブアップ寸前であった。
「すみません紅葉。急ぎのところですが、少しどこかで休憩しませんか……」
「うん、そうだね。この辺なら近くに私オススメの名店があるし、そこなら人も少ないから安心だよ~」
名店なのに人が少ないのは何故? と思うななよだが、紅葉のオススメである。
乱れた呼吸を整えながら、ななよは紅葉と共に、細い路地へと入って行く。
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