第二幕: 訪れたるは無二の店

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入り込んだ道を進むこと数分。 複雑に続いた細い路地は急に開け、広場に出る。 まるでこの場所だけ忘れさられているかのように、周りからポツンと切り開かれた空間。 それなりに広い土地の中央に古風な店が一軒、佇んでいるだけである。 「とうちゃ~く。いや~たまにしか来ないから、道順合ってるか心配だったよ」 ここまでの道中、幾度も分かれ道があり、そのたび自分の記憶と戦っていた紅葉であった。 「確かにとても複雑な道順でしたが、何か意味でも? それに、同じ街中でも何か違う雰囲気がするのですが?」 「え~っとね、話すと長いようで短いような……。まぁとりあえず、話しはお店の中でゆっくりしながらと言うことで。レッツゴ~」 慣れ親しんでいるのか、陽気に店へと向かって行く紅葉。 けれど祭りの騒ぎは一切聞こえず、辺りから不思議な気配が漂う。 ななよは多少警戒しながら、紅葉の後を追って店に向かう。
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