記憶

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『佳奈子!やりすぎだろ!』 流石にこれには困っている男。 事件になるかもしれないからだ。 『直哉は黙ってて!!  私はこいつが大っ嫌いなの!!!』 ママの言葉が胸に突き刺さる。 ママは殴るのを止めない。 だんだん意識が薄れてくる。 『嫌い!!嫌い!!嫌いなの!!』 今度は足で蹴ってくる。 『ぅっ…ごほっ』 私は必死に呼吸をしようとする。 でも蹴られて呼吸ができない。 酸素が欲しい。 『佳奈子ッ!!これ以上はやばいだろ!』 直哉と呼ばれた男が止めに入る。 ママは興奮状態なままも 何とかゆっくり落ち着きを取り戻す。 『ぅ…っぐす…うぅ』 静寂に包まれた部屋は 私の泣き声だけが虚しく響いていた。
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