優等生ちゃんのむかーし

2/9
5691人が本棚に入れています
本棚に追加
/360ページ
―――約1年前 荒れた廃工業でメキッと骨の軋む嫌な音が静寂に包まれた場所に響き渡る。 「…チッ…マジでつまんねぇ……。」 盛大な舌打ちをしたのは、端麗な面持ちで真っ白いパーカに黒のスキニージーンズとシンプルな格好の少女だった。 しかし、羽織っている白いパーカーにはたくさんの血がついている。 彼女が周囲を見渡すと艶やかな金色の髪がさらり、と揺れ周囲には数十人の不良が地面に平伏しており、ほとんどの不良達は意識がなかった。 「テメェ等から喧嘩売っといて、このザマか…マジふざけてんじゃねぇぞ……」 足元に転がっているほぼ意識のない男の髪を鷲掴みすると腹を軽く蹴った。 バキッと鳩尾に入ると鈍い音が鳴り完全に意識を失った男を一瞥した後、踵を返す。 しかしパタパタと足音がするので踵を返し始めた足を止めて振り返った。 「柚亜ー!!大丈夫っ?」 柚亜(ユア)と金髪の少女を呼んだのは、ツインテールでまだ幼く顔立ちは外人の少女。 「…あぁ、大丈夫だ。リリス……ここがよくわかったな?」 怪訝な表情を浮かべる柚亜に対し、ツインテールの少女、リリスはニッコリ笑う。 「柚亜の事だから、売られた喧嘩は絶対買うとわかってたからね!」
/360ページ

最初のコメントを投稿しよう!