序章

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「あっつ……」 昨年と全く変わらない満員のバスと電車に揺られ、いつものように登校している。ただ一つ違うのは、異常気象とも言えるこの暑さ。身体の熱は高まる一方、私の気持ちは沈んでいた。 今年大学受験を控えている高校三年生、井坂恵(イサカ ケイ)。男女共学の私立高校に通っている。成績はいたって普通なのだが、あろうことか、学校内で成績優秀、国公立大学を目指すクラスに在席中。 「もう夏休みだよ~。うちのクラス勉強凄そうだな…はぁ…」 そんなエリートクラスにいる私は、下から数えた方が早いに決まっている。おまけに大学受験への意気込みが他のクラスとは比べられないほど熱い。 「…今年は…何もなければいいな」 照り付ける太陽の下、私は駅へと降り立った
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